キバトドース!(挨拶)

気がつけばもの凄いボリュームでお送りする形になった
『ロックマンX アニバーサリー コレクション』開発スタッフインタービュー最終回!

今回もXアニコレ開発スタッフ陣に本作について、がっちり語っていただきます。
最後を飾るのは本作の為に作られた新モード「Xチャレンジ」
そのカギを握るのは松浦プランナーです。

無印ロックマン1当時からの現役ユーザーで、バスター縛りや
イエローデビルに至っては目隠しプレイなどもしたと言う筋金入りのロックマン好きであります。


いかにしてこの「Xチャレンジ」が誕生したのか?
前回に引き続き野中P、田中Dと共にお送りします。

【Xチャレンジパート】CIMG8093
▲左から 松浦プランナー、野中P、田中D、ウッチー

プロデューサー:野中大三(文中では野中)
ディレクター:田中誠(文中では田中)
プランナー:松浦賢司(文中では松浦)


――今回は野中大三プロデューサーと、田中誠ディレクター、そしてプランナーの松浦賢司さんにも加わっていただき、“Xチャレンジモード”について詳しくお話を伺っていきたいと思います。

これまでにも『ロックマン クラシック コレクション』でチャレンジモードが入っていましたが、本作のXチャレンジモードは、またそれとは違う新たなモードに仕上がっていますよね。
こちらはどんなきっかけで制作に至ったのでしょうか?

松浦 Xチャレンジモードは、開発の初期段階の、まだ田中ディレクターと僕だけが案を練っているときから上がっていた企画なんです。

とにかくプレイヤーさんに楽しんでもらえる何かを加えたいということで、新モードはどうだろうと。
その当時はまだ今のダブルボスバトルに絞られておらず、いろんな案を出しては検討していましたね。


【松浦さん】CIMG8072
▲松浦 賢司(まつうらけんじ):『ロックマンX アニバーサリー コレクション』メイン企画担当


――他にはどんな案があったのですか?

松浦 本当にいろんなアイデアがあったんですよ。
例えば“ストライクバスター”とか。
これは百発百中で敵に攻撃を当てていくモードで、外したらミスになるという。

他にも、“アクショントレーサー”といって、いろんなエックスの動きを最初に見せられるんですが、そのお手本通りに自分も同じアクションを出すというものだったり。

――アクションと言うと、バスター、バスター、チャージ、ダッシュみたいなことですか?

野中 そうです。エックスはアクションが多いですからね。

松浦 あとは、まさかの音ゲー(笑)。

田中 『ロックマンX』シリーズの楽曲は、人気があるんですよね。

松浦 リズムに合わせて表示されるボタンを押していくわけですが、成功するとエックスが上手いこと敵を倒してくれると。逆に失敗したら敵にやられてしまうとか。

――これはもう、独立したゲームですよね。

松浦 そうですね。とにかく楽しんでもらおうと思って。あとは、“ライドチェイサーレース”。
これは対戦もしたいと考えていました。
それと、“ライドアーマークラッシュ”。
ライドアーマーに乗ってのどつきあいです。

――おもしろそうです!

松浦 “ロイドスナップ”というのもあります。
そこかしこでレプリロイドを見つけたら写真を撮っていくと。

あとは、“ファストショット”。これはいわゆる早撃ちガンマンですね。

3、2、1のカウントでボタンを押して、早いほうが勝つと。それと、これは難色を示された案なんですけど、オリジナルのオープニングステージの体で、1ステージ作ろうかっていう話をしていたんです。

――新たなステージを作るということですか?

松浦 そうそう。ロックマンXシリーズ最新作!? みたいな(笑)。

田中 新ステージが作りたいっていうのはあったんですよね。

野中 何でこの案はやめたんだっけ?

松浦 期待感を持たせすぎるのもよくないということでしたね。
そんな感じで、いろいろ案は上がっていたのですが、ある日、田中ディレクターが「2体のボスが戦うとかいうのはどう?」と言ってきたわけです。その時、自分の頭の中でシミュレートしてみて「これは相当ハードル高いな」と思ったんですけど、同時に「うわー! 来たー!!」と思ってしまって(笑)。

――田中さんとしては、どのようなことから発想されたのですか?

田中 まず、いろんな案を並べてみた中で、3つの条件を満たすものを作らなければいけないなと思ったんです。
まず1つがインパクトがあること。かつ、手応えがあって、プレイヤーの間で議論が湧くこと。今、SNSなどで情報や物事を拾う世の中なので、この3つが欲しいと。どうせお金をかけてオマケを作るのであれば、その3つの条件を満たしておかないと、『ロックマン』ファンから火が点くことにもならないと。

そこで、ゲームの中身よりも真っ先に考えたのがモードのタイトルなんです。
そこで、何かインパクトがある名前をつけようということで“Xチャレンジ”になったんですね。

【田中さん2】CIMG8029
▲田中 誠(たなか まこと):『ロックマンX アニバーサリー コレクション』ディレクター



――内容が決まっていないのに、名前を決定しちゃったんですか!?


田中 そうなんです(笑)。
「Xチャレンジって何?」という得体の知れなさから話題になってくれればいいなと。
そして、2つ目の条件の“手応え”ですが、『ロックマンX』シリーズを見渡したときに、ボスが手強いというのが特徴として際立っているなと思ったんです。

そこで、「Xチャレンジとはダブルボスバトルである」と。

1対1の勝負でも苦戦するのに、そのボスが2体出てくるとなったら、ファンの方も「はあ?」とザワつくのではないかと。
『ロックマンX』シリーズを知っている人であればあるほど、2体出てくることのワケの分からなさがあると思うんです。

当然、松浦さんもシリーズに詳しいわけですから、ハードルが高いというのが浮かんだのだと思います。

松浦 そうなんです。プレイの難しさもそうなんですけど、制作のハードルも相当高いなって。正直、「これはもはやオマケではなくなるな」という気持ちでした。
実質、新作1本くらいのボリュームはあります。

――8本のゲームが収録されているのに、さらに新作1本分とは……。
豪華なオマケは、どこかカプコンの伝統というか、宿命のような気がします。
『ロックマン7』の対戦ゲームだったり、『バイオハザード』シリーズのザ・マーセナリーズ、『私立ジャスティス学園』なんて、丸々1本オマケディスクがついていて……。

野中 なぜかやりすぎちゃうんですよね(笑)。

松浦 開発チームとしてはいつも、面白いもの、楽しんでもらえるものを考えているので、いろんな企画を積んでいくとおのずと豪華になってしまうんだと思います。

ただ、カプコンの幸せなところは、会長とか社長も含めた上層部さえも「儲かるものを作れ!」というのではなくて、「まず面白いゲームを作れ、そうすれば必ずユーザーの心に響くから」と言ってくれるところですね。これはクリエイターとしてはとてもありがたい環境ですよね。

カプコンの開発には、何かを作るときに、まずはどうしたらプレイヤーに楽しんでもらえるかを考える文化ができているように思うんですね。

もちろん、さまざまなタイトル事情で期待に添えなかった作品もあるかもしれないですけど、今後も我々はプレイヤーさんに楽しんでもらえるゲーム作りを常にやっていきますので、ご期待いただければと思います。

CIMG8086


――Xチャレンジにも期待が膨らみます。
それにしても、新作1本分になるオマケって、全体の予算やスケジュールを考える野中プロデューサー的にはどうなんでしょう?

野中 企画が上がってきたときは、すごくいいなと思いました。

『ロックマン クラシック コレクション』のチャレンジモードも、ファンの皆さんに受け入れられていましたし。これって言わば幕ノ内弁当だと思うんですよ。

ちょっとずつ、いろんなステージをつまみながらリミックスで味わえると。
ステージのギミックも面白いところで、全ての穴やハシゴでプレイヤーを殺そうとしてきますよね(笑)。

それを一気に楽しめるのがいいなと。

【野中さん2】CIMG8017
▲野中 大三(のなか だいぞう):『ロックマンX アニバーサリー コレクション』プロデューサー、GBのロックマンワールドシリーズもお気に入り



――モードの中に魅力が凝縮されていますよね。


野中 先ほども出ましたが『ロックマンX』の魅力の1つに、やはりボスがありますよね。
そこを押し出しつつ、手応えを前面に出すというのも『ロックマンX』らしいし、きっと面白くなるだろうなと思いつつも、「いや、簡単にはできへんで」と思う気持ちも半分ありました。

松浦 やっぱりそう思ってました?

野中 2人には、企画を進める前に何回も聞きましたからね。
「しんどいですよ? 大丈夫なの?」と。
僕もシリーズ通して遊んでいますから、一筋縄ではいかないだろうと感じていました。
ドットグラフィックスの解像度の違いもそうだし、そもそも『ロックマンX』のボス戦には、1画面の中で戦うタイプだけでなく、移動しながら戦う、画面スクロールのステージもありましたよね。

――そういえば、特殊なボス戦が多いですよね。

野中 ボス戦って、基本的にボスの思考ルーチンのパターンに入っている“隙”を突いて攻める戦いかたになりますよね。「今ここ!」と、タイミングを見極めて攻めるゲーム性になっていて。

そこを逃したら次の隙まで耐えるわけですが、それが2体になったら、隙が埋まってしまうこともあり得る。だからアルゴリズムも変えなくちゃいけないから、大変なことは目に見えているわけですよ。
それでも2人とも「分かってる、やる」って言うから(笑)。
この2人がやるって言ったら、これ以上理論で止めるのは無理なので、
「どうぞ」って言うしかないですよ。


――野中さんが折れるほど、2人の意思は強かったんですね。


田中 僕らも大変なことは承知していたので、Xチャレンジは開発の初期段階から手をつけていました。
それで、まずテストでペガシオンとネクロバットのコンビを作ってみたんです。そこで「行ける」という光明が見えたんですね。
というのも、僕がプレイしていたとき、エックスがネクロバットの攻撃を避けている最中に、ペガシオンのアッパーカットを食らって落ちるという場面があったんですよ。そのとき「コイツらのコンビプレイにやられた」という感覚になったんですね。

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――なるほど、ツープラトンが出たわけですか!

田中 その時、僕の後ろで見ていた若いプログラマーも「ギャハハハ」と笑っていたんです。これはギャラリー受けもするぞと。

――ボスのコンビプレイも見応えがありますし、
プレイヤーがそれをどう回避するのか見てみたくなりますよね。

田中 そうなんです。
プレイヤーも「自分のプレイを見てくれ」という気持ちになるかと思うんです。
実は画面レイアウトも、ネット配信で映えるレイアウトにしてあって。
『ロックマンX』のプレイヤーって、自分の腕前を披露したいという気持ちも持っていると思うんです。
ダブルボスバトルはゲームとしての面白さもあるんですけど、そういう場所を設ける意味でもいいなと思って。
ですから、テストの段階から「これはもっとちゃんと作り込んだらいけるぞ」という手応えがありました。だから自分も腹をくくって「やります」と宣言しました。

――僕も初めてXチャレンジを見たとき、イベントなどのステージ向きだなと思ったんです。
上手くいったら見ている人も沸くだろうし。

逆にケチョンケチョンにやられても沸くだろうなって。
実際、プレイさせてもらったときやられてしまったんですけど、それはそれで面白かったです。

田中 『ロックマンX』が今でもプレイされ、その様子が動画などで公開されているのは、プレイヤーの腕前がハッキリ見て取れるゲームだからだと思います。敵の攻撃を美しく避けたり、工夫を重ねて生み出した攻略方法だったりと、プレイヤーのテクニックが賞賛される作品なんですね。
Xチャレンジは、そんな『ロックマンX』ファンにマッチするモードであるとも思ったんです。

――先ほど、野中さんが「アルゴリズムもイジらないとダメだぞ」という話をされましたが、実際に作り始めてみていかがでしたか?

田中 そりゃあもうイジり倒しましたよ。

松浦 まず、原作が異なるハードからの移植でしたし、
グラフィックが馴染むかどうかという問題もありました。

田中 それは本当に最初に突きつけられた問題でしたね。

松浦 見た目のことに加えて、異なるタイトルの、異なるプログラムで動いていたものを一緒に動かすという障壁もありました。

同じタイトルに登場するボス同士のタッグだと、そこまで苦労はしなかったんですけど。
でも、それだと組み合わせの幅も狭くなってしまうし、“夢の競演”とは言い難いですよね。
そこで作品に囚われない多彩な組み合わせを実現させるために、いずれかのタイトルをベースにして、そのシステムに各作品のボスを持って来て合わせることにしました。

ベースとなる作品については、検討を重ねた結果、2Dタイトルの最終形である『ロックマンX6』になりました。

――だから、『ロックマンX6』のようにエックスがしゃがめるようになっていたんですね。


松浦 その通りです。


――しゃがめるかどうかでも、だいぶ攻略が変わってきますもんね。アーマーについても気になるところですが……?

松浦 アーマーは、Xチャレンジのオリジナルになっています。
実はあれ、『ロックマンX6』のアルティメットアーマーの系統で、そのカスタムとか、プロトタイプというような、これまでにない新しい設定のアーマーなんです。
エックスアルティメットアーマー単体fix0202

――ここに来て新アーマー!

野中 装備武器は『ロックマンX6』以上になりますからね。
どれか1つのタイトルの武器にしてしまうと、どこかがおかしくなってしまうんですよ。
出てくる相手と違う武器を有効武器にせざるを得ないとか、そういう矛盾が出てきてしまうので。それならば、タイトルをまたぐ武器を作るしかないと。あれ、最終的に全部で何種類になったんでしたっけ。

松浦 30種類以上ですね。


野中 プレイ開始時に、そこから3つ選ぶことになるんです。

松浦 Xチャレンジの仕組みをざっくり説明しますと、全体で大きなエリアが9つあって、各エリアは3つのステージで構成されているんです。画面を見ると1から順に数字が並んでいますが、それぞれエリアとステージを表していて。エリア1の1ステージだったら、1-1という意味ですね。ステージは1-1から9-3まであるので、全27ステージとなります。そこで述べ54体のボスと戦うことになるわけですが、プレイヤーはバスターを含む10個の武器から3つを選択して、3ステージを通して戦っていきます。

田中 つまり6体のボスに対して、弱点は何だろうと考えて攻略するわけですね。

――どんな武器を持っていくかが重要になりますね。
先のステージまで考えなくてはいけないし……。

松浦 攻略の仕方にはだいぶ幅があると思います。
プレイヤーさんの得意の武器で戦うもよし、汎用性の高いものを持っていくもよしと。
プレイヤーによって攻略法が異なる、自由度の高さが面白さの1つかなと思います。

田中 ここもプレイヤー間の議論のポイントになるのではと思っています。

――「何持っていく?」とか、「この組み合わせにはコレでしょ」と盛り上がりそうですよね。
ただ、ボスと武器の組み合わせは何通りも存在するわけですから、バランスの調整が大変だったのでは?

野中 松浦さんは、この調整がもう趣味みたいになっていましたよ。


田中 ものすごい一覧表を作っていましたよね。

松浦 はい、誰に何の武器が効くかという一覧ですね。本当にものすごいことになりました。今回、オリジナル武器もそうですが、過去作の武器も使えるんですよ。かつてはピンポイントでしか活躍できなかった武器も、今回「こんな使いどころがあるのか」と驚いていただけるような場面を用意しています。

――聞いただけでもワクワクしてきます! 武器を選ぶ楽しみが増えますね。

野中 それに、武器を選択したときの登場シーンがまたカッコイイんですよ。
これだけでも絵になりますよ。

――パッケージ版の封入特典に、歴代ボスへの有効武器早見表がついていますけど、ぜひこの松浦さんの武器全集を……。

野中 さすがにそれは(笑)。

松浦 全部はお教えできないですけど、少しなら。
例えばバグホールがネクロバット達、
ある共通の特徴を持つボスに効く
んですよ。
原作では活躍所が本当に限られた武器でした。
あと、時はペガシオンにしか効かなかったダークホールドが色んなボスに効いたり。

――へー! こういう組み合わせを考えて入れているんですね。


野中 松浦さんの注文を聞くプログラマーの皆さんが、1つ1つ作業してね(笑)


松浦 この場を借りて、みんなありがとう、本当にありがとう!

――ホントに新規タイトルみたいですね。

田中 移植って言っていますけどね、グラフィックだけ持って来て、中身は手で直しているんです。もう、ほぼ全部作っているわけです。


野中 SEも全部作っていますしね。オリジナルとアレンジの2バージョンあるのですが、サウンドチームによると1000個ほど入っているそうで、これは『ロックマンX4』丸々1本分と変わらない数なんだとか。

田中 元々、ボスのSEも1対1のシーンとして調整されているものなので、それが2体となると、最初は音の情報量が多すぎて何がなんだか分からなくなって。

そこで辻野さんたちサウンドチームが全部1つ1つの音をバラして再調整したんです。
Xチャレンジモードでも、オリジナルとアレンジされたサウンドを自由に切り替えられるのですが、アレンジモードだとオリジナルでは鳴っていなかった音もついていたりするんですよ。
それまで音がなかった動きに、辻野さんが想像でつけてくれたんです。

【辻野さん】CIMG8000
▲サウンドディレクターの辻野さん

スーパーファミコンでは容量の関係で表現できなかったことも、アレンジモードではブワーッていうくらいに表現されていますので、また違った印象を持たれるかもしれません。

――イーグリードのステージなど、SEで判断する場面もありますから、音も重要な要素ですよね。

田中 ええ、音にも注目していただければと。
あと、サウンドディレクターの辻野さんはアレンジモードでゲージの上がる音を統一してくれたりとか、細かい部分もこだわってくれていました。
作品によって効果音が若干違うんですよね。

――そうだったんですか! 

松浦 ボス紹介のときは、「アイシー・ペンギーゴ」なんてボイスもありますよ。
これ、実は辻野さんが言ってくれているんです。英語バージョンは違う人ですけどね。

野中 またボスがたくさんいるんですよね……。
「トーンが違う」とかで、ボイス収録では何回も録り直しをしたらしいです。

田中 日本版でも、音声を英語に切り替えたら英語バージョンになりますよ。
どの地域のソフトを買っても、言語が選択できますから。

――世界中の方が楽しめるようになっているわけですね。
そうなると、難度のレベルというのが気になってきますが……。

松浦 ゲームバランスは、Xチャレンジ用にフルチューンしていて、遊んでいて最も面白いと思えるバランスになるようがんばったつもりです。
実は、僕の作ったゲームってよく難しいって言われていて、イージーがノーマルくらい、ノーマルがハードモードじゃないかと言われたりもするんです。

今回も多くの人がちょっと難しいと感じられるかもしれませんが、自分の中では1つ、ゲームの難易度調整でポリシーにしていることがあるんです。

それというのも、面白くするための調整はするのですが、手加減をしたような調整はしないと。例えば、ブレイズ・ヒートニックスにはマグマストリームという画面の2/3を埋めるような技があるんですけど、ボスが2体出るからといってその技をなくしちゃうと、すごく手加減されている感じがしますよね? マグマストリームを出さないヒートニックスに勝ってうれしいですか?と。うれしくないですよね。そういった手加減はプレイヤーさんに失礼だと思っていて。
本当に互いに本気で挑めるようなバランスにしてあります。

そうして苦労してクリアしたとき、これは絶妙なバランスじゃないかなと思うステージをいくつか用意しているので、ぜひ辿り着いていただきたいと思っています。

――これは、松浦さんからの挑戦状ということですね。

田中 今回のモードは、ボス2体だけ置いただけじゃないかと思われるかもしれないですけど、ちゃんと全部調整してあるんですよ。

松浦さんはもちろんですが、QA(品質管理)チームや、カプコンのゲームのチューニングを行っているチームとも議論に議論を重ねてきました。
「これは難しすぎる」、「いやいや、これだとファンは納得しない」と、徹底して話をして調整してあります。
基本的に原作からそのまま持って来ているようなことではないです。全て作り直していると思っていただければと。また、コンビについても松浦さんが「コイツとコイツはペアにしたほうがいい」と、こだわってやってくれましたから、自信を持ってお届けできます。

松浦 コンビはかなり時間をかけて決めました。
特定のボスは自分のステージじゃないと真価を発揮できないという制約もあるのですが、その中でも最大に面白さを引き出そうと思っていて。
実際にプレイして組み合わせを見ていただいたときに「なるほど、こういう狙いのタッグか」と、勘のいい方ならすぐ分かっていただける仕込みをしています。ちょっとしたドラマ性があったりとか。

――なるほど、ココでは書けないことをいろいろ聞いてしまいましたが、「あれってこういうこと?」とプレイヤーさんの間でも盛り上がりそうですね。


田中 タッグの企画が固まってから、真っ先にコミックをやってくれと話をしていたんです。
イメージとしては、某『キン肉マン』の超人タッグなのですが、タッグに名前をつけて、シナリオも欲しいと。それで松浦さんが膨大な数のタッグ名を考えてくれて。
そのタッグにまつわる文章もあったんです。

野中 案はいっぱいあったんですけど。いろいろ間引きましたね。


松浦 オールスターとなるとついて回るのが選抜総選挙というシステムですよね(笑)。

――そうですね(笑)。今回の選抜メンバーは『ロックマンX』から『ロックマンX6』のボスということですが?

野中 そうです。『ロックマンX7』、『ロックマンX8』からの参戦は叶わなかったりと、残念ながら舞台に上がれなかったボスも数体いるんです。

野中 その分、「コイツが!?」というキャスティングもありますからね。
8大ボス以外もいますし。

松浦 選ばれたボスたちは、それこそ選りすぐりのペアだと思うので楽しんでいただきたいと思います。本当に、2体いることで思いがけない化学反応が起きているんです。

例えば、1-1のペンギーゴとキバトドスのペアなんかは、プレイヤーさんに“最弱の氷ペア”なんて言われていますけど、2体になることで想像もつかない現象が起こったりするんです。

1-1


田中 普通にペンギーゴの吹雪に固められているところに、キバトドスに轢かれたり(笑)

――それぞれ1体ずつなら、何てことない攻撃なのに。

田中 ペンギーゴの吹雪が邪魔でしょうがないです(笑)。
毎回ヘトヘトになりますよね。

野中 前に行かれないですからね(笑)。
キバトドスは足が遅いので、そこは助かりますけど。

田中 エックスの運動量は2倍以上になっていると言っても過言ではないですね。
ぜひその目で見ていただいて、「このペアだとこんなことになるんだ」と楽しんでもらえたらなと思います。

野中 『ロックマンX』のボスって、無印『ロックマン』と比べてマップに依存したキャラクターが多いですよね。天井にフックがついていたり、水かさが上がったり。
そういうステージギミックも込みで戦う遊びであって、地形だって「このボスだからこの地形」という作りですよね。それなのに「この2体を組み合わせるの?」と思うタッグもありました。

――イーグリードとフクロウルのステージで、なんでこんなにフクロウルに攻撃が当たらないんだろうって思ったら、「そういえばフクロウルのステージは足場に乗って攻撃していたなあ」と思い出しました。

野中 そういった環境が変わるボスもいるんですが、逆にギミックをつけたところもあります。

田中 アリゲイツの油とクラブロスの水が一緒に降ったりとか。

野中 そんなこと本当によくやるなあと思いましたね。

松浦 でも、見た目的にも面白いでしょ?

1-2

野中 面白いけども(笑)。作っているところ見に行ったとき「本当にやるんだ、それ」って思いましたもん。
アリゲイツも、沈んでからパコンって噛みつくじゃないですか。
今回はさすがにやらないんだろうなって思ってたら、やるんだ、と(笑)。

――相当カオスな状況になりそうですね(笑)。

6-3


田中 その他にも、カーネルがジェネラルの腕に乗ったりもしますよ。

野中 ジェネラル、デカいですよね。デカいヤツは、ちゃんとデカくしていますから。

松浦 腕の上でまごまごしていたらカーネルが邪魔してきたりね。

野中 (松浦さんのプレイを見ながら)ああ、カーネル落としたい! お、上手い。

田中 松浦さんはこの腕前なので、バランス調整が難しくなるのも当然というか……(笑)。

松浦 ここまで話を聞いていただいて、「うわ、これ難しいぞ」と思われるプレイヤーさんもいらっしゃるかと思うんですが、そこはご安心いただきたいと思います。
難易度を3つ用意していて、多くの方にクリアを目指していただくためのイージー、クリアすること自体がチャレンジと言えるノーマル、そしてクリアしたら世界的に自慢できるハードがあります。
ハードをクリアしたらね、特技として履歴書に書いてもいいと思うんですよ。

田中 わかりやすく言うと、カプコンでも1人しかクリアしていないです。

松浦 QAチームの猛者、ただ1人ですね。

野中 彼はもう、職業が“『ロックマンX』のデバッガー”と化していますからね(笑)。

田中 昼休みも延々と研究してやっと最終ステージをクリアしたとか。

松浦 僕もノーマルではクリアしているんですけどね……。ハードは挑戦継続中です。

ノーマル、さらにハードは過去作の猛者も含め多くの人がクリアできない難易度ではありますが(おそらく多数の文句も出ることでしょうが)、これにはキッチリとした狙いがあるんです。

というのも、ネット上に多数存在する色んな「ロックマンX」関連の自慢動画を見ても、「バスターだけでノーダメージでボスを倒した」というのがとても多い。

知らない人からするとそれってきっと「凄い!」と言われる事なんだろうけど、当時から軽くやってた自分としては「これできる人って、一体世界に何万人いるの?」と、正直ずっと思っていました。世界で1位の腕前の人も2万位ぐらいの腕前の人も、同格に見られちゃうんですよね。

これって、その中の下位の「実はそこまで究極に上手くは無いけれど上手いと思われたい」人には都合がいいけれど、最上位のトッププレイヤーにしたら、今一つ面白くないはずなんです。

そこで、今回の絶好の機会に「世界に誇れるほど上手い人」の存在、そこは明確にしたいなと思いました。また、多くのプレイヤーが奇抜な縛りプレイ(自分もコントローラ逆さ持ちとかやってました!)に頼らずに、純粋に上を目指す事のできるキャパシティを設けたいと思ったんです。


田中 ちなみに、QAチームの彼がハードをクリアしたときの動画を開発チームでも見たのですが、とんでもないですよ。人間が指先から繰り出せる動きではないです。

――超反応という感じですか?

田中 超反応というより、彼がニュータイプって言ったほうがいいかな。
頭が良すぎるというか。「そんな避けかたするの!?」って驚きますよ。

松浦 ハードをクリアしたら、新しい何かが見えると思います。
ぜひ、皆さんにも挑戦していただきたいですね。

田中 もちろん、イージーやノーマルでも楽しんでいただけますので!

――でも、僕ノーマルでもチンチンにやられましたけど……。そんな僕でも楽しめますか!?

田中 大丈夫です。僕も4-3までですから(笑)。

野中 それでも十分楽しめますよ。

田中 Xチャレンジのボリュームは、全体で2時間くらいでしょうか。
1ステージ10分の制限時間があるのですが、平均的に見て6~7分でクリアできるので。
それが27ステージ分あると。

野中 すんなりいけば、そのくらいでクリアできますね。すんなりいけば(笑)。

松浦 エリアの区切りごとにオートセーブが入るので、少しずつ、自分のペースでプレイしていただけますし。

野中 ボス戦の途中ではセーブできないですけどね。
エリアをクリアしたというデータは残ります。

田中 イージーでも良いので9-3までクリアすると、すべての難易度の、
“プラクティス”が選択できるようになり、そこで練習ができるようになります。

――なるほど、そこで腕を磨いてさらに次を目指すということですね。

野中 来るべきハードモードに向けてね。
あと、Xチャレンジの1部のステージが『コレクション1』と『コレクション2』で異なるんですよ。
両方に全く同じものが入っているわけではないので、2本買っていただいた方も無駄にはならないですから。

CIMG8101
▲計4本持っております。


田中 先ほど1つのエリアの中には3つステージがあると言いましたが、その内のステージ1と2は両作品で共通なんですけど、ステージ3は『コレクション1』と『コレクション2』で違う内容なんですよ。つまり各エリアのステージ3が別々であると。

――ということは、『コレクション1』と『コレクション2』に、独自のステージが9種類ずつあるというわけですね。

田中 そうです。ちなみにその9種類のステージは、コレクションに収録したタイトルならではのコンビが入っていたりします。

――本当に盛りだくさんですね!

田中 そうですね。オマケなのにタイトル画面や専用UIも作ったし、描き下ろしの絵や新曲もあるし……。サントラが発売されていますが、「ここで使ってきたか!」となるかと思います。ボス戦らしい仕込みもありますよ。

田中 あとはランキング機能もあります。
得点と受けたダメージを計算してスコアを出すのですが、そのスコアで順位を競うんです。

松浦 これまでクリアすることにしか興味を持たれなかった方も、ぜひ1度スコアを意識してプレイしていただけたらと思います。
そしてクリアしたら、そのスコアを1回でも上回るように、言わば「昨日の自分を越える」というような気持ちでプレイしていただけたら、さらなる面白さを知っていただけるかもしれません。

――ランキングは皆さん頑張っておりますね。

松浦 チーム戦とかもできそうですよね。例えば3人チームで、
1エリアをプレイしたスコアの合算とか。遊びかたはさまざまですね。

――では、そろそろお開きの時間となりますが、皆さんから楽しみにしているファンの皆さんへ、ひと言ずついただきたいと思います。

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松浦 Xチャレンジは単体でも遊べるモードになっていますので、
長く遊んでいただけたらうれしいです。
夢はeスポーツのような公の場で、競技として楽しんでいただけるようになったらいいなと思っております。
ワールドチャンピオントーナメントとか、見てみたいなあと。
皆さんで盛り上げていただけたらうれしいです。
一生懸命作りましたので、よろしくお願いします!


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田中 これまで『ロックマンX』をプレイし続けてくださった皆さんが、腕前を披露する場所がなかったと思うのですが、Xチャレンジでついにその場所をご用意できたと思っています。
また、ファンの方はもちろん、これから『ロックマンX』に触れてみようという方にも遊べるイージーモードを備えました。
きっと、とんでもないことが起こると思いますのでお楽しみに!


CIMG8103

野中 本作はアニバーサリーというコンセプトで制作しました。
この25年のどこかで『ロックマンX』シリーズに触れてくださった皆さんが、これまでの歴史を体感できるようにと作っております。

ゲーム本編だけでなく、Xチャレンジモードという各作品の架け橋になっているようなモードも入っています。これを機にもっともっと『ロックマンX』シリーズを好きになっていただいて、魅力を再発見していただきたいなと思います。


以上!超ボリュームでお送りしてきました『ロックマンX アニバーサリー コレクション』開発スタッフ対談、いかがだったでしょうか?

長く愛されてきたシリーズだから、手にした人が少しでも楽しめるように、
また手元に残して置きたくなる思い出のアイテムになって欲しい、そしてこれからもずっと遊び続けて欲しい。そんな思いで開発されたタイトルがこの『ロックマンX アニバーサリー コレクション』なのではないかなと思いました。

今回のインタビューでお話を聞いた開発スタッフの
皆さんが本当に楽しんで「やりすぎている」と言うのが伝わってきました。

CIMG8096


皆さん貴重なお話ありがとうございました!

最後に今回のインタビューで写真を撮ってくれたり、いろいろ助けていただいた
Xアニコレの若手企画マン山岸さんにも感謝です。

【山岸さん】CIMG8106
▲これからどんどん面白いゲームをつくってください。

『ロックマンX アニバーサリー コレクション』を買おうか迷っている人は是非1度、
持っているお友達などにでも遊ばせてもらってください!
きっと持っていたくなると思いますから!



=オシラセ=



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