メットール!

前回に引き続き『ロックマンX アニバーサリー コレクション』開発スタッフや
当時エックスシリーズに関わっていた方にお話を聞いてみました。

今回は「アレンジサウンド&新曲」をテーマにXアニコレのサウンドディレクター、辻野さん(この方がアニコレサウンドのキーマンです)
コンポーザーの「ROCK-MEN」でおなじみ北川さん、そしてオリジナルスタッフとして『ロックマンX』のBGMを担当した「SETSUO」こと山本節生さんにお話を伺いました!


【節夫さん】CIMG7990
▲左から北川さん、辻野さん、山本節生さん

サウンドディレクター:辻野泰之(文中では辻野)
コンポーザー:北川保昌 (文中では北川)
オリジナルスタッフ:山本節生(文中では山本)
聞き手:ロックマン ユニティ ウッチー(文中では――)


――『ロックマンX アニバーサリー コレクション』の発売を記念して、開発スタッフの対談をお送りします。
今回はサウンドディレクターの辻野泰之さん、コンポーザーの北川保昌さん、オリジナル作品に携わったレジェンドスタッフ・山本節生さんにお話を伺いたいと思います。
皆さんは、同じ部署に所属されていますが、一緒に制作作業をされることもあるのでしょうか?


辻野 山本さんが3階のミックススタジオの首領(ドン)なので、
まずはココを通さないことには収録できないんです。


山本 ドンっていうか、マネージャーです(笑)。


【節生さん】CIMG7941

▲山本節生(やまもとせつお):『ロックマンX』メインコンポーザーを担当
「SETSUO」の名前で海外でも有名


辻野 このスタジオからカプコンサウンドが作られていくわけですから、絡むことは多いですよ。

山本 そうですね。ほとんどのタイトルにちょっとずつ関わっている感じですね。

――なるほど。それにしてもサウンドスタッフの皆さんは、タレント性がありますよね。

北川 キャラクターが濃いというかね(笑)。

――皆さん、仲がいいなという印象もあるのですが。

北川 そうですね。やっぱり社会人ですから、表面上はね(笑)。それで円滑に進んでいます(笑)。

山本 昔はね、剥き出しのヤツがいっぱいいたんですけどね。

辻野 体からバーンッてオーラが見えているような連中がね(笑)。尖ったナイフ持っているような(笑)。

北川 今は、だいぶなだらかになりましたね。

辻野 昔は毎日がリアル『ファイナルファイト』でしたよ。

北川 ちょっと気を抜いたら溜め攻撃されるようなね。

山本 そこからコミュニケーション強化をモットーにね(笑)。

北川 カプコンは「大阪から世界へ」のハズなのに、ココだけえらい個人レベルのね。

一同 あははは(笑)。

――そろそろ『ロックマンX』の話をしてくださいー(笑)。
ええと、まず『ロックマンX』のサウンドは、山本さんによって基盤が作られたと思うのですが、以前のインタビューでは、かっこいいリフ、口ずさめるメロディー、疾走感、それにプラスして哀愁というコンセプトがあったと伺っています。

山本 はい、そうです。

――最初に完成したのが、オクトパルドの曲だったということで。
その時は、BAMBOOさんこと竹中善則さんや、『ロックマンX』チームとは関係ない三上さんにも聴いてもらって出来上がったとお聞きしました。

今回は新曲もたくさん入っているとのことですが、田中ディレクターや、野中プロデューサー以外にも、制作過程で聴いてもらった方はいらっしゃいますか?


辻野 基本的にはみんな仲がいいので、公開することはあまりなかったです(笑)。
仲がいいので(笑)。ただ、唯一『ロックマン11』のチームとはやり取りがありまして。
無印の『ロックマン』と、『ロックマンX』の違いというのがありますから、お互いの曲を聴きあったりしました。
お互いをフィーチャーする形で。

【辻野さん】CIMG7987
▲辻野 泰之(つじのやすゆき):『ロックマンX アニバーサリー コレクション』サウンドディレクター、サウンドデザイナー

北川 そうだったんですか。知らなかった……。

山本 コミュニケーションの強化って言ってたのに(笑)。

――野中ディレクターは辻野さんに「新曲は、どうですか?」って聞いたとき、聴かせてもくれず「こんな感じですっ」でサムズアップされたと言っていましたが(笑)。

【辻野さん】CIMG8000


辻野 いやあ、サーバーにアップしてあるから百聞は“一聴”にしかずと、ね。
もともと『ロックマンX』のコンセプトにある、かっこいいリフとか口ずさめるという点は、もちろん検証しています。だから、細かい説明は不要かなと。

北川 そこまでちゃんと考えられていたわけですよね。僕としては辻野さんから「北川さん、イイ感じでひとつ」と言われたのが印象に残っています。


【北川さん】CIMG7988
▲北川保昌(きたがわやすまさ):『ロックマンX アニバーサリー コレクション』新規楽曲制作全般と、一部シーケンスSE再現を担当。ロックマンファンには「ROCK-MEN」メンバーとしてもおなじみ


辻野 これね、事実で「イイ感じで!」って言うと、イイ感じで仕上がってくるんですよ。
そこで僕はさらに、「ここはもう少しキャッチーに」とか、「もうちょっとメロディアスに」と話を詰めていくわけです。だから、僕としては北川さんにおんぶに抱っこでしたね。

――北川さんの曲作りにはやはり、“ROCK-MEN”として活動されてきた経験が活かされていたのでしょうか。

北川 そうですね、『ロックマン』愛というのでしょうか。
でも、今回は『ロックマンX』ということで、(山本)SETSUOさんという大明神、レジェンドがいらっしゃるということで、最大限のリスペクトをしつつ、僕のカラーである、シンセサウンドを出していこうと。SETSUOさんのサウンドをフィーチャーしつつ、ギター音ゴリゴリのスーパーファミコンらしい曲を目指しました。

――ギターのフレーズはやっぱり印象的ですよね。

北川 そうなんです。僕はギターは弾けないので、かつてはROCK-MENのギタリストの彼が弾いてくれていたんですけど、今回は弾いてくれる人がいない。
そこで、ギターを弾けるSEのスタッフにお願いしたり。
そして、辻野サウンドディレクターもギターが弾けるので……。

辻野 ちょっとだけです。

北川 ちょっとどころじゃないですよ。カッティングの猛者です。

――それじゃあ、辻野さんが弾いている楽曲もあるのですね?

辻野 はい、1曲だけ。

北川 そういった部分でも辻野さんには助けられました。
ただ、根幹の部分は自分で弾かなきゃいけないので、まずは弦を押さえるために指にタコを作ることからですね……。

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山本 結局自分でも弾いたんだね。

北川 ええ、録音は1小節ずつでしたけど……。いや、もう「ジャッ、ジャカッ」くらいの短さで。

辻野 もうちょっといけたでしょ!?(笑)

北川 マグレで2小節くらいいけたかもですね。そんなこんなで、SETSUOさんのサウンドをフィーチャーしつつ、自分の色も出しつつ、辻野さんのご意見もいただきつつ、イイ感じに仕上がったのがこのサウンドです。

――なるほど、そんな苦労があったとは……(笑)。

山本 なんせ、元々が25年前ですからね。その昔の部分を残しつつ、今っぽくしっかりかっこよくなっていると思います。

――聴かれてみて、SETSUOさんらしいところも感じられたと。

山本 いやあ、それは自分の口からは言えないよお(笑)。

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北川 過去にも、SETSUOさんの曲をアレンジさせていただいたこともありますからね。

山本 そうだね、過去に何度もやってもらっています。

北川 『ロックマン ディストピア』というアルバムが出ているんですが、そこでSETSUOさん作曲の『Armor Armarge Stage』という、とてつもない名曲をアレンジさせていただいたこともありました。その時は、SETSUOさんにちゃんと伺いましたね。

山本 そうそう、聴かせてもらいましたね。

北川 「どうですか?」と聴いていただいたところ、苦笑いで(笑)。

山本 いやいや、かっこいいんですよ。僕的には「いいよ、もうやっちゃって」と。

――自分の曲を改めて聴くと気恥ずかしいということでしょうか。

山本 そうなんです(笑)。

北川 確かにコンポーザーとしては、自分の25年前の曲を掘り返されたら辛いというのはありますよね。

山本 絶対辛いよ(笑)。今回も、PVで、ね……?

辻野 PVのイントロ曲を、SETSUOさんの曲から選んだんです。

山本 僕が聞いていた話では、北川くんの新曲だけを使うはずだったんですよ。
でも、たまたまスタジオの扉を開けたら、僕のスーパーファミコンの曲がめっちゃ鳴り響いていたんですよ。

辻野 先輩をフィーチャーするのはサウンドチームの伝統ですから(笑)。

――そこに仲の良さが出ていますね(笑)。

北川 やっぱり『ロックマンX』といったらあの曲ですよね。

辻野 ファンの皆さんからも支持されていますよね。

――ほかのゲームに『ロックマンX』が客演という形で登場する際も、あの曲が使われますよね。

山本 本当言うと、作り直したい……。いや、やっぱりもういいです(笑)。




■移植タイトルでは、異色のサントラ

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――今回、皆さんに事前にアンケートを取らせていただいていたのですが、その回答で北川さんはご自身のキャッチフレーズというか、二つ名を“原曲リスペクター”と書かれていましたね。
いつもなら“原曲デストロイヤー”と書かれていたのに、これはなぜですか?

辻野 いくら北川くんだって、山本さんを目の前にして言えないでしょ?(笑)あ、でも仲はいいですからね(笑)。

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北川 ROCK-MENとして活動していたときはデストロイヤーとして大鉈を振るっていたわけですけど、実を言うとですね、僕はデストロイなんてしたことがないんですよ。
ですから、あの曲たちは、愛があったがゆえのアレンジだったわけです。
今回も愛でアレンジさせていただきました。そういう意味で、原曲リスペクターと、本当の名を披露させていただきました。

山本 デストロイヤーの覆面を取ったら……、みたいな(笑)。

――ああ、プロレスでヒールかと思いきやベビーフェイスだったと(笑)。
ところで、今回は新曲が多かったにも関わらず、制作は早かったとのことですが、あまり悩まずに作曲できたということですか?

辻野 田中ディレクターが曲の方向性をガッチリ握っていたというのもありましたし、北川さんも最初からそういう方向性を理解してくれていましたから、ほぼリテイクはなかったですね。
たまに僕がちょっとイチャモンつけていたくらいで、やり直しというのはなくて。
候補として何曲か作ってもらったものも無駄にならず、それぞれ別のシーンに使われました。
「この曲はエンディングっぽいから、そこで使おう」とか、「これは武器選択、これはタイトル画面かな」と。そんな感じで効率よく進められたので、やりやすかったです。

北川 ゲーム制作の現場ではよくあることですが、それにしてもスムーズに行きましたよね。
作業期間は実質、4~5ヵ月くらいだったでしょうか。

辻野 この曲数でそんな短期間というのは、普通ではありえないですよ。
ゲーム的な判断が早かったからというのもありますね。

北川 今だからカミングアウトしますけど、当初、辻野さんから歌モノを入れたいということを聞いて「マジかよ」と思いました。歌は時間がかかるんですよね。
期間のことを考えたとき、自分の中でブーストがかかりまして、それでペースが上がったんです。

――そもそも、北川さんは曲を書くのが早いと伺いましたが。

山本 うんうん、早いよねえ。

北川 いやあ、もうその時代は終わりましたよ。歳なので……。

――よく新幹線の中で1曲作っちゃったとか。

北川 それは昔やっていましたね。でももうそんな若さはないです。
移動中はしんどいので寝ています(笑)。


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――曲作りという部分でいうと、SETSUOさんはスーパーファミコンで制限がある中、和音をバラしたり、ダブルメロディを使ったりと試行錯誤されていたとお聞きしました。

北川 ダブルメロディって何ですか?

山本 全然違うメロディが同じ曲の中に走っていて、それがバチンと合うというやりかたね。

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北川 カウンターみたいなことですね。

山本 そうそう。ダブルメロディっていう言葉も、説明するために書いてもらった造語みたいなものだから。

――パズル的に考えられて曲作りをされていたわけですよね。
以前、SETSUOさんは現在のハードのスペックなら、そんなことはしなくていいけれども、その分、演出を考えなくてはと、今のコンポーザーの方に向けておっしゃられていましたね。


北川 素晴らしい。さすがレジェンドのメッセージですね。


山本 本人の横で言うなよー(笑)。

北川 僕も内蔵音源世代の人間なので、それはすごく分かります。
Nintendo64とか、ゲームボーイとかの音源をやっていたので。
ですので、その辺が分かっているので、当時の手法などを取り入れつつ、現代の音でその時代の空気を醸し出すことができました。そこには昔からある、音を無駄にしないという気持ちがありますね。


――以前、元ROCK-MENの高野充彦さんからも、当時は本当に曲の隙間を埋めるように、無駄なく使っていたと伺いました。また、ゲームボーイ本体は一番初期のものが鳴りがいいとか。


山本 ああ、箱鳴りがいいんだよね。


北川 言ってくれたらゲームボーイ持ってきたのにー。

――さて、今回は新曲は何曲くらい作られたのでしょうか?

辻野 アレンジを含めると29曲ですね。あと、PlayStation4のカスタムテーマ用に専用のBGMと専用のSEも作りました。だから豪華なんですよ。


――ええっ!? 普通はすでにある楽曲をテーマにも使うのではないですか?


北川 普通はそうですよね。僕も「マジかよ」と思いました(笑)。

山本 そういうことやっているタイトルあるのかなあ? じゃあ、ゲームを購入したらもうそのテーマが使えるの?

辻野 早期購入特典のダウンロードコンテンツですね。テーマも複数の種類があるのですが、その中に本編では鳴らない曲も2曲あります。

サントラにもない曲もあります。あとは、『RE;FUTURE』のインストバージョンですね。
SEも2種類ずつあって作り分けていますから。
これはもう、13年も待った方へ愛を届けたいということでやらせていただきました。


北川 1つはSETSUOさんにやっていただいてもよかったなあって思います。


辻野 そうだよね!


山本 いやいや、もう鼻歌だけなんてことになっちゃうから(笑)。


――SETSUOさんは鼻歌でも曲を作られるそうですね。


山本 そうね。お風呂とかでね。それにしても、今回のサウンドは本当に豪華だよね。

辻野 もう新規タイトルを作る意気込みでやりましたから。

北川 今数えてみたら、29曲のうち、アレンジは7曲でした。

山本 新曲が20曲以上増えたんだね。アレンジはどの曲をやったの?

北川 『ロックマンX』シリーズの『1』から『6』までの、通常ボスの6曲ですね。

――新曲はPVでも流れていますが、とにかくノリがいいですよね。

辻野 Xチャレンジモードの曲ですね。

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北川 作るに当たって、画面のUI(ユーザーインターフェース:アイコンや画面構成とかの事ですね)とかも見せてもらったんですが、すごくかっこよくて。

辻野 これでサウンドがショボかったらダメですよね。

北川 それでこちらも盛り上がったというのがあります。
そういう相互作用というのがゲーム開発においてはよくあるんです。

山本 あるある。

辻野 もしUIが簡単なものであったら、曲もシンプルにしないとバランスが釣り合わないですからね。でも今回は、UIさんがバシッといい仕事をしてくれましたね。

――そもそも、そういった部分に新規の曲をつけましょうというのは、どういったところからスタートしたのでしょうか。

辻野 最初は田中ディレクターから「Xチャレンジという新しいモードのために、新曲を作りたい」という話があって。
それで最大6曲くらい作れたらいいなということだったんですが、それが約30曲になりましたと(笑)。

――ええと、田中ディレクターによると「基本はアレンジ曲にしようかと思っていたが、辻野くんに新しい曲がいるよね、と言ったら目を輝かせていた」という情報が寄せられています。
さらに「XチャレンジのSEも全部新規で作っている」ということですが……!?

辻野 先ほどUIとサウンドのバランスについて言いましたが、BGMとSEにもバランスがあるんです。BGMが新しいのにSEが古かったらおかしいと。
でも、全部新しくしてしまうと、今までのファンの人にも先輩にも失礼ですから、ちゃんとオリジナルは残しています。
つまりオリジナルとアレンジの、2つのモードを用意させてもらいました。
完全に新規のSEとBGMが流れるアレンジモード、そしてオリジナルに極めて近いサウンドが楽しめるオリジナルモードと。

オリジナルのほうは、スーパーファミコンからの移植もあるので、完全にそのままというわけにはいかなかったのですが、原曲をなるべく再現しています。
このサウンドモードはいつでもオプションから変更できますよ。

山本 ということは、曲を2本走らせているの?

辻野 そうです、そうです。切り替えると曲がフェードアウトして、もう一方のモードの曲がフェードインしますよ。

山本 もう、スペックの無駄遣い(笑)。

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辻野 この2人は無駄なく作る世代ですけど、僕は無駄遣いする世代なので(笑)。
あるもの全部使っちまえと。
プレイヤーさんも、切り替えてみると、同じ曲だけど新旧で全然違うというのが分かると思います。

――田中ディレクターは最初、Xチャレンジモードはアレンジサウンドで考えられていたそうですが、オリジナルも重要だということで切り替えられるようにしたそうですね。

辻野 やっぱり、オリジナルをおろそかにした移植作品はファンも喜ばないと思うんですよね。

山本 確かにそうかもね。

辻野 先輩をリスペクトするという意味でも、しっかりとオリジナルを残しております。

北川 オリジナルありき、SETSUOさんありきですから。

山本 (照れ笑い)

――本当に豪華ですね。

辻野 アニバーサリーですからね。でも、今回僕がやりたいって言ったことに対して、田中さんは絶対首を横には振らなかったんですよ。

――NOとは言わなかったと?

辻野 ええ。サントラに関しては、僕、野中プロデューサーにしつこく圧力をかけにいきまして。
そうしたらメールで「サントラを出したいという熱は分かったけども、こんなに圧力をかけてくるサウンドチームは初めてだ」と(笑)。

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▲この対談を横で聞いている野中P

――私、ウッチーも商品化のチームからそんな話を聞いたことがあります。
「サウンドチームの人、ミーティングでの情熱がすごいんですよ」って。


辻野 CDもピクチャーレーベルになりましたからね! 担当の方に交渉するときも「スリーブにつける帯はいらないんで、盤面をカラーにしましょ、そのほうがファンも喜びますよ」と、押しに押して。チームメンバーががんばって作ったものですし、どうせならいいものを届けたいですから。

――昨今、楽曲はダウンロードで購入する方も増えていますが、今敢えてCDを買う方は手元に持っておきたいという思いが強い方が多いですよね。
そこでケースを開けたらピクチャーレーベルというのは気持ちも上がります。
そもそも、こういったアニバーサリータイトルでサントラCDが出るというのも珍しいですよね。

辻野 移植タイトルでは、異色のサントラです(笑)。

――うまい!なるほど(笑)。サントラのジャケットも描き下ろしですからね。
初回盤にはさらに描き下ろしイラストのスリーブが付くという。

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▲描き下ろしジャケット


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▲初回限定スリーブ

辻野 僕も最初はジャケットが描き下ろしになるとは思っていなかったんです。
気がついたら田中ディレクターが全部手配してくれていて。

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▲デザイナー出身の田中ディレクター、我々的にも大変ありがたいです。

――また田中Dからの情報が来ましたけど「イラストレーターの水野くんには、ジャケットを含めてキャラクター大量にいるアートを5枚くらい描いてもらいました」とのことです。
普通、1タイトルに1枚もあればいいほうだそうですが……。


辻野 本当にありがたいことですね。


――ワタクシ個人としても、サントラの発売は嬉しいです。
そして、もう一つ楽しみなのがボーカル曲があるということなんですけども、これはどういう経緯で作られることになったのですか?

辻野 歌ってやっぱりいいですよね。『ロックマンX』シリーズはボーカル曲が多いですし。

山本 『ロックマンX4』以降は全部歌モノがあったよね。

辻野 この話を田中Dにしたところ、首を横に振らないどころか「これ、ターゲットは北米の人も含まれているよね。じゃあ北米版の歌も要るよね?」と。
そこで僕は「ええっ、北米版アレンジもぉ!? これはさすがに北川さんにしばかれる……」となったわけですが、北川さんは「2バージョン? まあやりますけど」と、快く引き受けてくれて(笑)。


北川 いやいや、「マジか……」と思いましたよ。
歌モノは録る準備もありますし。収録後の調整にも時間がかかります。
しかも、これはゲーム中の曲のアレンジになっているんですよ。
でも、ゲーム中の曲をそのまま歌にはできないので、歌いやすいようにアレンジするんです。

辻野 これはもう、ほぼ新曲ですよ。

北川 イントロも変わってきますし、ボーカルさんによって歌えるキーも違ってきますし。
今回は原曲キーが高すぎたので低くしたり、転調させたり……。
そういった調整をしたうえで、歌録りになるんです。

――しかも、それを2バージョン作られたのですよね。

北川 ええ。ですから「やるぞおー!」という感じではなかったですね。

辻野 それは僕だけですね(笑)。「曲が上がってくるの、楽しみだぞー!」と。

北川 まあでも実際は、作っているうちに楽しくなってきちゃうんですけどね。
最終的にいいものに仕上がったと思います。

辻野 ええ。いい仕事をしていただきました。

北川 今回は両バージョンとも、社内のスタッフに歌ってもらいました。
カプコンは層が分厚すぎましてですね。

山本 人材がすごいのね。

辻野 最初はプロの歌手に依頼しようかという案もあったのですが、さすがにそこは田中Dも「お金ない」と横に首を振りました。
そこで、サウンドデザイナーの新人の女の子、坂口恵里香さんに歌ってもらいました。
ですからERICA名義になっています。

彼女は元々、ボーカルでブイブイ言わせていたと、「そんじょそこらの女には負けへん」という勢いで来たので、「じゃあ、歌ってみる?」という感じで。……すみません、真相は無理やり歌ってもらいました(笑)。
もう1人は『大逆転裁判』シリーズなどのローカライズを担当されているジャネットさんですね。
『大逆転裁判』でも歌っていたかと。

――ええっ、そうだったんですね。

山本 ジャネットは結構いろんなところで歌っているよね。
あと、仮ボイスとかもよくやってくれています。

北川 もうジャネットさんしかいない、というか、まずジャネットさんにお願いすると。

辻野 ピンポイント指名ですよね。

北川 ですから、今回はいい意味で身内感がすごいですね。
アレンジでも辻野さんがギターを弾いてくれていますし。
それにもう1人のSEスタッフ、藤澤鯛介くんにも弾いてもらっています。

辻野 元々彼はプロのギタリストだったんですよ。
講師をやっていたくらいですから、相当上手いです。

北川 僕が弾くよりいいに決まっているのですが、彼も本業のSEがありますので、それは全曲弾いてもらうことは叶わなかったですけど、部分部分では協力してもらいました。

――もうサウンドチーム総出で作られていたのですね。

辻野 さらに言うと、昔のタイトルで曲を作られていた方にも演奏者として参加してもらっていたり。

北川 『ロックマンX7』などで曲を作っていた、ミッドナイト岡田こと岡田信弥さんに、オルガンを弾いてもらいました。

山本 彼は『ロックマンX7』や『ロックマンX8』、それに『ロックマンX コマンドミッション』でも曲を書いてくれていたよね。

辻野 彼のオルガンのセンスはすごいですよ。

――本当にタレントが揃っていますね。では、歌の歌詞はどなたが……?

辻野 歌詞はERICAが書いています。作詞もやっていると聞いたので。
最初は中二病っぽく書くかもなんて言っていましたけど、フタを開けてみれば世界観にもぴったりの歌詞になって。

――そこも楽しみなポイントですね。ところで、制作中のチームの雰囲気はどうでしたか?

辻野 本当にみんな仲がよくて、雰囲気もものすごくよかったです。
本当に仲がよくてね。これ、本当に仲がよくて。

――あの、3回以上言うと逆に聞こえてしまいますけど……。


山本 本当に仲いいのか、悪いのか(笑)。


辻野 あっ、気をつけますね(笑)。でも、みんないいものを作ろうとしていて。
プログラマーさんも新しい遊びを作ろうとか、そういった動きがたくさんありました。
それに対して音がいるよね、とか。そして最後にBGMにも仕掛けがあるとかね。

――是非チェックしていただきたいですね。では、そろそろ今回の対談も結びとなりますので、お三方にひと言ずついただきたいなと思います。まずはSETSUOさんから25年を振り返っての想いをお聞かせください。前回のインタビューでは20周年でしたけども。


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山本 前回はまだ去年くらいのことのような感覚ですけど(笑)。
本当にあっと言う間ですね。さっき思い出したのですが、『ロックマンX8』には僕もしっかり絡んでいました。
そこから13年経っていると考えると、ファンの皆さんをだいぶお待たせしているなと感じました。
今回の『アニバーサリー コレクション』が盛り上がることで、次のタイトルにいい話が繋がるといいなと思っています。
新曲もいっぱい入っていますので、ぜひ、お手に取っていただけるといいなと。
そして『ロックマンX』の世界観を感じていただければと思います。


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辻野 僕も今回、サウンドディレクターをやるに当たって、次のタイトルの布石となるようなサウンドを作る、という目標がありました。オリジナル作品からのファンが満足のいくものをきっちり再現したうえで、新しいものを提供したのも、『ロックマンX9』をやりたいという意志表示です。

サントラも、スタッフを巻き込んで無茶苦茶やりました(笑)。
ぜひ本編もサントラも楽しんでいただければと思います。


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北川 ROCK-MENをやっていた数年前は、まさか自分が『ロックマンX』のタイトルにガッツリ関わるとは思ってもみなかったですね。
その時はアレンジだけでやらせていただいてたのですが、そのご縁もあってか、こうして『アニバーサリー コレクション』に携わることができました。
「これで人生の目的をほとんど達成したかな」という気持ちになるくらいの勢いでやらせていただきましたので、ぜひ皆さんに聴いていただきたいと思います。



いかがでしたでしょうか?
とにかくサウンドの方々はノリが良い、今回の新曲も合わせて
『ロックマンX アニバーサリー コレクション』を楽しんでいただければと思います。


なんと!この企画、まだ終わりません。
次回は『ロックマンX アニバーサリー コレクション』スタッフによる対談、移植に関していろいろお話を聞いてみました。なかなか濃いですよ!お楽しみに。


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▲最後にROCK-MEN的に定番のショットを


=オシラセ=


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