ディグアウト!
おもちゃ“も”大好きウッチーです!
現在千値練さんの、4インチネル「ロール・キャスケット」
発売記念特別企画!
「買う側」のワタクシが「作る側」にインタビュー後編になります。
普段何気なく耳にしたり口にしている「監修」と言う言葉。
どんな事が行われているのか?
話を聞かせてくれたのは、これまでも数々のロックマンシリーズに参加し、2018年10月4日発売予定の『ロックマン11 運命の歯車!!』にもモチロン参加している日暮 竜二さん(自画像はシガラキー)
▲ずっと自画像はシガラキー
さてここで、日暮さんの考える「監修の意図や目的」について聞いてみました。
日暮さん(以下青文字):商品によってクオリティにバラつきがあると、物によっては「これ監修通ってるのか?」と言われることがあるんですけど(笑)、よく考えてみてほしいのですが、全ての商品を同じ状況で作っているわけじゃないですよね?
ウッチー(以下「ウ」):そのとおり!
僕が主に関わっているフィギュア関連で言えば、
「メーカーが違う」「原型師さんが違う」
「仕様が違う」「価格が違う」「コストが違う」
「スケジュールが違う」「ターゲットが違う」…と、とにかく様々なわけです。イミテイションゴールドです(笑)。
ウ:急にモモエちゃん?!(ついて来てる?)
分からない人は、検索して聴いて!
大丈夫、僕も世代じゃないから(笑)。
…ともかく、毎回条件が同じなはずがないんですね。
そもそも僕が監修していない商品もたくさんありますし。
ウ:ですね。全部日暮さんがやってたら大変なことになります。
「ロックマン11」の開発が遅れます(笑)
なので簡単に言うと、監修というのは「常に100点満点の商品を作る」のではなくて、「その商品の価格や条件、コンセプトを考えて、可能な範囲で最適な指摘をする」こと。
ウ:わかります。
例えば「商品の価格が500円のものと10000円のものとでは、監修のレベルも変わってきますよ」という事です。
簡単な話ですよね。
500円のものに厳しい修正を入れ続けたら利益を出せなくなってしまいますから。
ウ:そうすると続きも出ない(汗)
それでも基本的には100点を目指してるんですけど、ものには限度があるので…。
4インチネルのロックマンの時には、さすがに「もう無理!」と泣きが入ったりしました(笑)。
そう言いつつも結局最後までやり切ってしまうのが千値練さんですが。
ただ、その時の反省を踏まえて、4インチネルに関してはまずこちらで三面図を用意するようになりました。
ウ:うはーそうなんですね!
と言う事で今回の「ロール・キャスケット」三面図を大公開!!
ウ:では今回インタビューのきっかけになった「4インチネル」についてですが
▲よくここまで来てくれた
4インチネルロックマンシリーズは、企画の北本さん(千値練)と話しているうちに「公式イラストを徹底再現したフィギュア」というコンセプトになって、そこからが地獄の始まりだった(笑)。
僕は人の絵柄を真似するのが得意…というか、
それだけでやってきたので、ここに関しては手を抜けない。
「そんな細かい事言うんなら自分で作れよ!」というレベルの修正をガンガン入れていて…。
こんなに厳しく監修したのは、
過去にはギガンティックシリーズのロールくらいなんですが、
4インチネルはそれを毎回やっている感じで、僕としても、精神的にも体力的にも非常に重いんです(笑)。
ウ:ギガンティックのロール!そうなんだ!
それこそ絵を描くよりも遥かに大変で、プレッシャーも大きいので、魂を削っている感じというか…1体完成する度にヘトヘトになります。
でも、こちらが本気を出せば出すほど応えてもらえるので…。北本さんも原型師の木下さんも、よくこんな僕に付き合ってくれてるなあと、いつも思います(苦笑)。
北本さん、木下さん、いつも有難うございます!!
ウ:いい話だ!でも木下さんも話してましたが、日暮さんの監修で原型がどんどん良くなっていくので、どんな指示が来るのか楽しみ、と。
ほんと4インチネルに関わっている人たちはみんな凄い!
あと、これはお客様に謝罪しなければならない事なんですが、DASHロールちゃんが2バージョンになってしまったのは、僕が「ロックマン11」の開発に追われていて、なかなか「帽子なしバージョン」と「データ」の三面図を用意できず、提案が遅れたためでして…。
描けた時にはもう価格や内容を変更できないところまで進行してしまっていたんです。
ウ:いや「ロックマン11」大事!大事!
なので諦めかけていたところを、別商品の限定版という力技で商品化してくださいました。
嬉しい一方でユーザーの皆さまにはお財布に厳しい状況になってしまいまして、本当に申し訳ありません。
ただでさえ業界全体が厳しい状況で価格の高騰が止まらないですし、そんな中で2バージョンという売り方は絶対叩かれますよ!?とは言ったんですが、北本さんが「別に良いっスよ」と漢気溢れる返答をくださいまして(笑)。
なので決して足元を見ているとか、儲けてやろうとか、そういう事ではないんです。
むしろ千値練さんの熱意凄え!!っていうのと、メンタル強え!!…という。
ウ:(あの人ホント凄ぇ)
ただ、今回救いだったのはDASHロールちゃんだったという事で。
「さすが守銭奴ロールちゃんだぜ」で済ませてくださっているファンの方もたくさんいらっしゃって(笑)、有り難いです。
ウ:うはは、わかってるなーって思いましたね。「ごめんねロック」
そういえば千値練さんのブログで「次はトローンでボーンなあの子とか…」と言われてましたが…現時点では全く決定事項ではありませんから!!(笑)
「ロールちゃんが売れたら、もしかしたら出るかも?」くらいに思っていてほしいです。
ウ:まじめな話、厳しいと思いますね。
そうですね。当たり前なんですけど、こういうのは大抵主人公キャラクターでシリーズがスタートして、ラインナップが続いてサブキャラになっていくと、どうしても売り上げが落ちていくものですから。
数が出ないということは、利益を出すために価格を上げざるを得ない。
価格を上げると買ってくれる人が減る。
そしてまた価格を上げなければならない…という悪循環。
シリーズが続けば続くほど厳しいんですね。
世界情勢も理由にあるとはいえ、最新作のロールちゃんではついに第一弾のロックマンの倍近い価格になってしまいました。
ウ:当初は手に入りやすい価格もポイントの一つだったんですが、ここ数年でモノ作り全般コストが上がってしまいましたからね。
どこの業界でも同じ事を聞きます。
今回の「シリーズ初のヒロイン」かつ、「これまでフィギュアが無く、実績がないDASHロールちゃん」というのは、商売としてはかなり冒険です。
結果の予想が難しいですから。
それでもやるのが千値練さん。
まさに「鋼の冒険心」(笑)。
ウ:うははは、うまいことを!でも今回の2バージョン化もそうですが、千値練さんは、男気で商品出しちゃうのが凄いと思います。
「日暮さんが言ったんならやる!」と。
ただ、当初はシリーズ初の女の子はトロンの予定で、実を言うともう三面図も描いてあるんです。
ウ:おおっと!
でもトロンって単独でゲームが出ていたり、他ゲームへのゲスト参戦も多く、立体化にもそれなりに恵まれていて。それに乗り物ありきのキャラクターな部分もあるので、ヒロインの可動フィギュア第一弾としてはどうなんだろう?というのもあり…。
一方メインヒロインのロールちゃんはカプセルトイくらいしかフィギュアがなくて、どうにも恵まれていないというか。
そこで「ロックの横にまず並べたいのはロールちゃんでしょう!」と推していたんですが、千値練さん内部でも同様の声が上がっていたそうで、急遽変更になりました。
…そんな状況なので、ロールちゃんが売れたら次はトロンである可能性が極めて高く、DASHファンの方は是非購入していただけると嬉しいです。
ちなみに、個人的にも念願のフィギュアだったので3個ずつ注文しました。
これを一番欲しがっていたのは僕かもしれない(笑)。
ウ:自分でも買う!大事です!あ、限値練のコラボロックマンも受注受付中です(笑)。ワタクシ買います。
あれはシリーズ唯一、僕は殆ど関わってないものですけど注文しました。
バンダイさんのギガアーマーもそうでしたけど、ああいうコラボ系オリジナル商品って好きなんです。
ロックマンって30年も続いているのに全然無かった。
ウ:言われてみれば確かにそうですね。
ようやくそういう展開ができるくらいの認知度を得られたのかなと、嬉しいですね。
やっとここまで来たんだなあ…と。
ウ:わはははは!
今後もっと色々なものが出ると良いですね。
個人的には某変形ロボットシリーズとコラボしてほしいですね。
ロックマンはロボット作品ですけど、変形が足りない!
ウ:いいですねー!ロックマンがラッシュばりに変形して欲しい。
監修に関して他に気をつけている事とか、自分自身への指針みたいな事ってありますか?
カプコンにいるといっても、タイトルもキャラクターも自分のものではないですし、まして自分がデザインしたものではないことが殆どで、大切な借り物も同然で。
自分の好みだけではできないんですよね。
制作に関わっていないタイトルでも監修しなければならないこともありますし。
千値練さんの『RIOBOT ブロディア』がそうですね。あれもイメージイラストから描き起こしましたが、「これ、僕がやっていて良いのか?」と思っていました(笑)。
でも当時の制作スタッフは別の仕事で埋まっていたり、既に退社されているなんてこともあるので、なんとかしてみせなくちゃいけない。
ウ:確かに、社内にお話を聞ける人がいないと大変ですね。
でも、ブロディアは「こんな機会はもうないだろうから徹底的にやりました。」と話されていましたが、凄かったです。あと重かったです。(重量的に)
自分が関わっていたエグゼシリーズのフィギュアだとしても、メインイラストを描かれていた先輩の絵柄をベースにして作りたいと言われたら、それを踏まえて監修しなければなりません。
「いやいや、僕の描くロックマンはこうなので!」と押し付けるわけにはいかないんです。
タイトル、キャラクター、イラストレーターにそれぞれのファンがいますから、それに応えないといけない。
幅広く順応できなければいけないし、作品やキャラクターへの理解も必要。もう、本当に大変(笑)。
本気で向き合うなら、とても片手間にはできないです。
一方で商品がどうすれば売れるかも考えないといけない。
例えばエックスのフィギュアを作るとして、デザインが3種(初期、8、コマンドミッション)、イラストレーターも様々。
そんな中で何を基準にするかというと、僕はとりあえず数字を見ます。
ウ:ナンバリングの数字ではなくて「販売本数=売り上げ」の数字ですね。
一作目の『ロックマンX(SFC)』が一番売れていて、そこから徐々に下がっていき、最後には4分の1程度まで落ちた。
ということは、より多くの人に認知されているのは初期のX1〜2の頃のイラストではないか。
もしくは近い絵柄で長い期間続いたX4〜X7の頃か。それとも全てを踏まえて最大公約数を取るのか。
実際には最大公約数を取る事が多いですが、それだといつも同じになってしまいます。
同じ商品ばかり出しても意味がありませんから、過去に発売した商品と被っていないかも考えます。
…とまあ色々考えて、メーカー様と相談の上で決定します。
4インチネルのエックスがX1〜2のイラスト基準なのは、そういった理由からです。
そこに、さらにそれまでのエックスフィギュアには無かった「磁石を使って壁蹴りを再現」という要素で、より価値を上げる提案を出したり。
ウ:みんなが嬉しいデザイン+遊んで楽しい!ですね。磁石はビックリしました。マグネットを使ったおもちゃって昔からたくさんありましたけど、ここまで作品に合致したのは、なかなか無いですよ。
4インチネルのエグゼに関してもそうで、「ゲームの売れた本数<TVアニメの視聴率から考えた単純な認知度」だろうと。
アニメの設定画を監修していたのも自分ですし、初期オープニングの最後に僕の絵が使われていたのも大きいです。
ウ:アニメの!おおおそうなんだ!確かに地上波で放送されているのは大きいですね。自分より年上の人でロックマンを知ってるのはエグゼだけ、と言う方がいましたから。アニメを見ていたそうです。
アニメが無ければ、間違いなくメインイラストを描かれていた先輩の絵に合わせていましたね。
もちろん、メーカー様側から「これを基準にしたい」という明確な企画があれば、それに従います。
なので、今後何かの形でX4〜X7基準のエックスや、メインイラスト基準のエグゼのフィギュアが出てくるかもしれませんね。
ウ:そのあたりはメーカーの担当さんのコダワリしだい、と言う感じでしょうね。特にエックスは当時遊んでいた人が、商品開発をする年代なのでありそう。
ウ:では最後にメッセージなどあれば
監修という仕事自体がわりと特殊なので、社内でもあまり理解してもらえない事が多いですけど、すっっっごく大変な事をしています。この記事で少しでも苦労を知ってもらえたら嬉しいですねえ…。
もし「なんだこれ!?デキ悪いな!!」という商品があったら、無理に買っていただかなくても良いので、「なんか事情があったのかな~」と察していただけると幸いです(笑)。
ウ:色々あるんですよ!色々!
日暮さんありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
監修という言葉は聞くけれども実際どこまで考えて行っているのか?
それぞれスタンスはあるとは思いますが、ただ“間違いを指摘するだけではない”という事は伝わったのではないでしょうか?
そんな思いが詰まった4インチネル「ロール・キャスケット」は現在予約受付中です!ロールちゃんだけではなく、今まで発売されたアイテムも、今回のインタビューを読んで大事にしていただけたら嬉しいです。
※「監修」に関しては各版元様・監修者によって、考え方、方法は様々です。
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