メットール!

と言う事で『ロックマン クラシックス コレクション』の発売、
そして誕生日を記念して、以前ファミ通さんに掲載された、ロックマンのオリジナルスタッフ
H.M.D.さんのインタビューの完全版を掲載します!

公開されていないお話もありますので、じっくりお読みいただければと!

ロックマンファンはもちろん、全てのTVゲームファンにお届けしたいロングインタビューです。



ではどうぞ






ロックマン誕生のひみつ
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※H.M.D.氏
FC版『ロックマン』『ロックマン2』にプログラマーとして参加。
第1作『ロックマン』への参加時点では派遣社員ながらメインプログラマーを務めたという、
異色の経歴の持ち主。

トピック用1

■開発期間はなんと6ヶ月

1987年当時はファミコンの大ブーム期であり、
プレイヤーも市場も常に新たな作品を欲していました。
カプコンの家庭用ゲームでは『ガンスモーク』『セクションZ』
ディスクシステム版が発売されていた頃になります。

ロックマンの開発期間は1987年の4月から9月のなんと6ヶ月。
現在の基準では考えられない程、タイトなスケジュールで制作されたのです。

私が派遣社員としてチームに参加したのは、開発間もないころ。
ディレクターのA.K氏と背景を担当するデザイナーの3名体制でした。
ほどなく新人を中心にスタッフが集められました。


デザイナーのINAFKING氏が参加したのもこの頃です。



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▲背景デザインの一つである、ワイリー基地。最上部にはワイリーUFOらしきものが・・・。



トピック用2

■ボス戦から作られた?初期の企画内容とは?


ロックマンは「ロボットを主人公にする」「新たなスタンダードを目指す」の2点のみで始まった企画です。

また開発初期はカートリッジではなく、ディスクシステム向けの作品として企画されていました。
ディスクシステムはそれまでの通常のカートリッジよりも、収
録できる容量が大きいと言ったメリットがありましたが、
一度に読み出せる容量に制限があるデメリットもありました。

ディスクシステムの特性にマッチしたゲーム性を目指して、
当初は「道中を省いてボス戦に特化」
「好きなステージをプレイヤーが選べる」と言ったゲーム
でした。


実際に完成した『ロックマン』は当初の企画内容とは随分異なるゲームですが
「倒したボスから武器を手に入れる」
「ボスには弱点が存在する」
「ステージをどの順で進めるかが攻略につながる」
と言った、
『ロックマン』の根幹となるアイデアはこの時点から盛り込まれていましたね。

その後大容量ROMカートリッジでの制作に変更になり、
皆さんの知る『ロックマン』へと変化していきます。



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▲タイトルが『ロックマン』と決まるまで様々な案が出ていた。




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▲タイトルが『ロックマン』に決まった後もかなりの量のタイトルデザイン案が出されている。





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▲各ボスの初期案。ここから何度も修正が加えられ、おなじみのボスキャラとして完成されていきます。






トピック用3


■異才のディレクター、A.K氏


お話を進める前にディレクター(当時は「企画」と呼ばれてた)を務めたA.K氏について少し。
彼は頭の中に完成形が浮かんでいるタイプのディレクターでした。
『ロックマン』の根幹を生み出したアイデア、発想力も凄いんですが、
それよりもステージ毎のギミックやザコ敵の配置や調整で
紙に書いたレイアウトを前に、ストップウォッチ片手に
イメージプレイしていた姿が印象的です。


その結果を元に初期値を当て込んだら、
調整不要なレベルにピッタリ
で驚かされました。

彼とは『ロックマン』『ロックマン2』で組んだのですが、彼ほどの才能には未だ巡り合えていません。




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▲ステージ毎のギミックやザコ敵のラフ案。これらを前にしてイメージしていたのだろうか。





トピック用4

■容量との戦い


大容量のROMカートリッジ(当時で言うメガROM)を使用することが決まりはしたのですが、
それでも容量の制約は大きかったです。
泣く泣く2つのステージをカットする事になりました。

一つはパズル的なゲーム性を持つもので
ロックバスターを当てている間は開くけど、
一定時間で閉まってしまう扉で区切られたステージでした。

このステージのアイデアは『ロックマン2』のワイリーステージの中で
限られた爆薬を使って通路を開けていくステージへと形を変えて採用しています。

もう一つは強制スクロールのステージ。
次々に障害物が迫ってくる仕掛けでした。
疾走感のあるステージが欲しかったんです。


他にも最終ボスのイエローデビルを倒した時の演出も当初予定していた
「パーツが一つづつ崩れて行く」演出を、輪郭だけを残して弾けるような演出に変更する
などして容量を削っていきました。

ココはプレイヤーがようやくたどり着いた達成感を感じられるように、
特別感のある演出が欲しかったので容量を削りつつも工夫しました。
削りに削った結果、1MビットROMの残容量は僅か16バイト。
本当に詰め込みました。




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▲容量の制限上、ドット比率や同時発色などを常に考えてデザインを起こす。
その制約の中から面白みのあるデザインが生まれていった。



トピック用5

■『ロックマン2』へ


当初のアップ予定の8月から、2週間ほどは延びてしまいましたが無事に
『ロックマン』は予定通りの12月17日に発売する事が出来ました。
A.K氏をはじめスタッフのみんなは達成感がありましたし、
口コミで『ロックマン』の人気は広がっていたのですが、

残念ながら当時の上司のジャッジは「続編は作らない」でした。

容量上諦めていたアイデアや削った要素などもあったので、
A.K氏の『ロックマン2』への熱意はすごい物がありました。

そんな中、開発ではなく販売サイドから
「続編を作ってほしい」と言った話
がありました。

A.K氏は上司をすっとばして販売と話を纏めてから、
上司へ「『ロックマン2』を作らせてほしい」と直談判しました。


結果は…「別の作品と並行して作れるなら」との条件付きでOKを勝ち取ったのです。



トピック用6

■最後に

H.M.D.氏から『ロックマン』シリーズファンの皆様へ



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ロックマン生誕28年。おめでとうございます。
『ロックマン』はゲーム制作とは全く違う畑だった私に「こんなに面白い仕事があるのか!」と
教えてくれた作品です。

28歳。人間で言えば、会社で新人扱いから卒業し、責任のあるお仕事の一つも任され、
上司と後輩との間で板挟みになりつつ「もう若くないなぁ~」などと弱音の一つも出る歳ですが

ロックマンは永遠に元気いっぱいです。(ロボットですので)


しばらくお休み中のロックマンですが、皆さんの応援あれば、きっと復活するはずです。

その日まで変わらず、握った両手を高く挙げたポーズでジャンプし続けていただきたいと思いますので、
どうぞご声援を。


                                                  (END)


いかがでしたか?

ここからは「こぼれ話」としていくつかご紹介です。
こぼれ話、と言いつつも興味深い内容が多いのでこちらもぜひお楽しみください。




こぼれトピック用1

■こぼれ話①


『ロックマン』のステージはカットマンステージ→ガッツマンステージ→ボンバーマンステージの順で制作された
(以降はワイリーステージが最後だったこと以外はH.M.D.氏の記憶の彼方)。
なので、最も大ボリュームのワイリーステージの制作が地獄のスケジュールに…



こぼれトピック用2

■こぼれ話②


1987年当時のカプコンではヒット作品の制作チームには特別ボーナスとして
ハワイ旅行がプレゼントされていたらしい。

「ロックマンをヒットさせてハワイに行こう!」が合言葉だったが、
口コミを重ねて人気となった「ロックマン」は評価対象期間中の規定数には達成せず、
ハワイ旅行は幻に終わった。



こぼれトピック用3

■こぼれ話③


なんとか制作がスタートした『ロックマン2』。
この作品では第1作ではできなかった
「大きな敵を出す」
「ドラゴンを出す(A.K氏たっての希望)」
「8大ボスを出す(第1作は6大ボス)」
「パスワードコンティニューを実装する」が目標でした。


更に隠し目標として「会社に泊まらない」が掲げられていました。


『2』の制作時にH.M.D.氏が会社に泊まる事となったのはアップ直前の2日間のみ。

しかし徹夜のせいで?『2』エンドロールには2か所ほどスペルミスがあるそうです。
真偽の程は…『ロックマン クラシックス コレクション』でご確認ください。



こぼれトピック用4

■こぼれ話④


第1作の「ロックマン」。
マイティーキッドやナックルキッドと言った候補を押さえて、
主人公の名前はロックマンと決まったものの、
主人公の名前の前につけるキャッチ的な言葉が見つからず、
商品名がなかなか決まらない。「レインボー戦士 ロックマン」と言う案もあったが、
ひと回りしてシンプルな『ロックマン』に落ち着いたとか。


こぼれトピック用5

■こぼれ話⑤


ファミコン時代には「カプコンのゲームは難しい」と言ったユーザー評が多かった。
『ロックマン』も殊更に高難易度を目指したワケではないのだが、
テストプレイを行う開発チームのメンバー(当時はデバックも開発チームのスタッフが行っていた)が皆、
非常に上手なため、うなぎのぼりに難易度が上がってしまったとの事。

当時のH.M.D.氏はアクションゲームは得意ではなかったので
「この難易度でホントに良いの?」とひそかに感じていたのだそう。




以上!H.M.D.さんありがとうございました!WILLY_SMALL



いやー「ロックマンをヒットさせてハワイに行こう!」「会社に泊まらない」など名言満載でしたね。

ちなみにH.M.D.さんは「2010ストリートファイター」のプログラムも担当されていましたが
同じように「この難易度でホントに良いの?」って感じていたのかも聞いてみたい!


以上誕生日特別企画「ロックマン誕生のひみつ完全版」でした!


『ロックマン クラシックス コレクション』公式サイトでは
他にもたくさん誕生日記念企画を実施中ですので、合わせてお楽しみくださいませ。




-オシラセ-

「イーカプコン限定版 ロックマン クラシックス コレクション LIMITED EDITION」


【1120更新分】限定版画像2nd


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いやホントにオススメですよ!
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